トライアスロンへの道 その7

 

それからまもなく自転車の練習が始まった。

最初はチームの人達とサイクリングロードを走ることになり、出発しようとするが…上手く発進出来ない。ロード用の自転車はペダルとシューズを固定するため、乗り方にはコツがいる。見た感じは普通の自転車と変わらないのだが、実はペダルを固定するのが最初は難しい。

私がモタモタしているのを見てチームの人達は笑っていたが、最初はスケートに乗るくらい難しく感じた。いずれにしても、私のロードバイクはやっと前に進んだ。そして、一歩ずつトライアスリートに向っていた。

 

最初はロードバイクに乗ることさえままならなかった私だったが、チームの先輩達のアドバイスもあり徐々に乗りこなせるようになってきた。

ただ、そのほとんどがサイクリングロードをゆっくり30~40kmの距離を走るものだったので、とりあえずロードバイクに「慣れる」練習といった感じだった。そこでそろそろ本格的な練習も必要だという訳で、一般道での長距離練習を始めることになった。

 

実はロードバイクで一般道を走るのは、結構勇気がいる。基本的に自転車は車道の左側を走らなくてはならないため、車道の一部分を占有することになるので実際怖い思いもする。そんなに危険なら歩道を走ればいいじゃん!と思うだろう。

確かに自転車も条件付きで歩道を走ることは出来るが、30km/h以上で走る自転車が歩行者優先の歩道を走ったらどうなるか?しかも歩道には車が出入りする斜めの段差があるため、そもそもあまりスピードは出せない。

だから一般道でロードバイクの練習をする時は、絶対に歩行者などいないような田舎道を選択する。もちろんそんな場所には歩道などなかなかないので、どちらにしても車道を走るしかない。

 

まずはゴルフ場などがあるような山間部で鳴らし運転をした。

もちろんこのような場所はほとんどが上り下りばかりなので、いきなり厳しい練習となった。少し走るとすぐに「心臓破り」級の上り坂になり私は撃沈した。ほとんどスピードが出せず、先輩達は遥か先に行ってしまい見えなくなった。

 

やっと頂上で待っていた先輩達に追い付き「よくあんな坂をスイスイ登れますね」と言うと、「ペダルを押してばっかりだから登れないんだろ!」と言われて私の頭の中は「???」だった。

 

そう言われても、何のことかさっぱり解らなかった。

「自転車のペダルは押すものでしょう!」

と疲れてヘトヘトになっていたこともあり、私は逆ギレしそうになった

 

しかしよく考えてみた。

ペダルとシューズが固定されているということは、ペダルを押すだけではなく上に引っ張る力も使えるということだ。思わず「なるほど」と納得したものの、それを意識するとぎこちない感じになった。

更に先輩達が言うには、そもそも自転車のペダルは円運動を描くことにより前に進むんだから、それも意識しないとダメらしい。ますます混乱してきたが、一つ言えることは普通の自転車とは力の掛け方が違うということだ。

 

とにかく円運動の全体に力を分散させて、効率的なペダリングをしていくしかないようだ。

 

 

 

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