トライアスロンへの道 その4

 

最初の25mだけは何とか泳ぎきり大きな息をついて休憩していたが、まだこれから775mも泳がなくてはならない。

結局、その後は途中で何度も足を付き一度も25mを泳ぎ切ることはなく、何度もコースの途中で立ちながら前に進んだ。当然ながら他の選手は泳ぎ終わり、ほとんどのボランティアの人達も自転車競技の会場に向かっていた。

 

そのわずかに残った人達が

「頑張れ!」

と声をかけてくれる。とても「もう少し」と言える距離ではないにも関わらず。

 

苦しさと悔しさと恥ずかしさが一気に押し寄せ涙が出そうだった。そんな苦しく長い時間も終わろうとしていた。

どのくらいの時間がたったのか解らないが、周りにいた人達は「頑張れ!」「もう少しだ!」と必死に声を出してくれた。

 

たった25mしかないのに私は何度も足を付き、立ち上がるとまた泳ぎ始める。明らかに歩いた方が速いほど遅い私に対して、最後は全員大拍手で迎えてくれた。

今考えても本当に迷惑な選手だ。

 

当時のボランティアの人達には大変な迷惑をかけて申し訳ない。私は30分以上かかったが、トッブ選手は10分ほどで終わったらしい。

 

まるで罰ゲームに負けたかのようなつらい時間をプールで過ごした私だったが、いつまでもクヨクヨしている暇はない。

この後は場所を変えてバイク(自転車)とラン(マラソン)。「さあこれから挽回だ!」と気合いを入れた。

 

トライアスロンというと海から上がってすぐに自転車に飛び乗るというイメージがあるのでしょうが、そういった大会はどこでも出来る訳じゃない。

ましてや海で泳ぐとなれば安全対策に経費が掛かるので、参加費やスポンサーなどもたくさん必要になる。だからローカル大会ではプールを使い、バイクとランは公園などを使うことが多い。

 

もちろんこの時もプール&公園という形式で、泳ぎ終わった選手から順次バイクパートの公園に移動して、ゆっくりと自転車やマラソンの準備をすることになる。

通常のトライアスロン大会では自転車専用シューズを履く人が多いので、事前に自転車の点検・着替えのチェックと同時にシューズの交換を素早く出来るように工夫することが重要となる。

 

 

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