アイアンマン・ジャパン北海道 2015 レポート

大会レポート
開催日時 2015年8月23日(日) AM6:00よりウエーブスタート
開催地 洞爺湖町(スタート・ゴール) その他計10市町村
天候・気温 曇り時々雨 気温19~23℃ 水温23℃
種目・制限時間 アイアンマン(スイム3.8kmバイク180.2kmラン42.2km)・17時間
出走者・完走者 男性(1392名・1240名)・女性(172名・125名)

今回が3回目の出場となるトライアスロンレースの「アイアンマン・ジャパン北海道」が2015年は8月23日に開催された。

3800mを泳ぎ、180.2km自転車に乗り、最後に42.2kmを走るという、普通に考えたらとんでもないレースだ。

ところが今年からバイクコースが変更になり、普段ヒルクライムレースに使用されている急坂が100km以降にそっくり配置されるという獲得標高2,355mの恐ろしいコースが出来上がった。世界に40以上あるアイアンマンレースの中でも2番目に難しいコースと言われている。

《大会3日前》

今年はまず大会前の木曜日に競技説明会に参加するために一度洞爺湖へ行ってきた。色々忘れ物があったが、その辺は強引にクリアしてしまった。

《大会前日》

土曜日の午前中までに持っていく物を二重にも三重にもチェックして、車に全て積み込む。これは意外と面倒だが、緊張しながらも嬉しくなる瞬間でもある。昨年はバイクチェックインの時間に遅刻してしまい、関係者の方々には迷惑を掛けたので今年はちゃんと余裕を持って夕方には洞爺湖に付いた。

バイクチェックでは、ロードバイクの動作やメーターの確認、そしてヘルメットが適正かどうかを厳しくチェックする。まぁその辺は札幌のトライアスロン仲間の人たちがいるので、暫し談笑しながらバイクチェックは終了してそのままバイクをセッティングした。

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その後はラン用のバックを預けて、バイク用のバックもセッティングしておいた。当日の朝も確認しに来るのでとりあえず重いものは置いておくことにした。

《大会当日》

当日の朝は3時15分に目覚ましを掛けたが、結局30分前に目がさえてしまいそのまま身支度と食事に入る。ここ最近、ロングレースの朝に沢山食べて失敗しているので、朝一は少なめにしてスタート直前やスタート後に徐々に食べるように心がけている。そうしないと、レース中のトレイタイムだけでえらい時間を消費してしまうので(笑)

近年のトライアスロンブームもあり、このロングレースのアイアンマンにも全国はもちろん、世界各国から沢山の選手たちが集まってくる。アイアンマンの世界選手権でもあるハワイ大会に出るためのポイントを取得するのが目的の人もいれば、私のように長いレースを楽しみたい人も沢山いる。

スタート会場に着くとまずは前日預けたバイク用のバックの中身を確認する。昨日も3回くらいチェックしているのだが、それでも心配なのでもう一度全てをチェックして今年はここにスマホを忍ばせた。それとバイクとランで受け取るスペシャルニーズは超重要なのでもう一度中身をチェックして預けた。

その後はスイムのスタート会場に行き、ウエットスーツに着替える。この日のために7キロも減量して、ウエットスーツのサイズに合う体型に戻したのですんなり入った。後はワセリンを首周りや脇に塗り、アンクルバンドや時計を付け直し、手にマジックでナンバリングをしてもらう。

スタート時間が近づき、気持ちが盛り上がってくると一旦冷ますかのように湖に少し入る。試泳というほどではないが、思ったより暖かい23.5℃の水温に慣れておいた。

いよいよアイアンマンレースはスイムから始まる。エリートから順番にスタートし私は4番目の朝6時16分にスタートを迎える。

スイムは特にタイムを気にせずいつも通り力を使わないようにダラダラと泳いて、心拍数を上げないようにしている。スイムは無かったものとして、バイクが本当のスタートのつもりで行きたいからだ。

今年は真ん中くらいの位置取りをしていたが、以外にもバトルにはあまり巻き込まれなかった。それだけ速くなったのかと思ったが、実はかなり外側を大回りしていたようだった。ただ今年の泳ぎ自体は前の手をスーッと伸ばすことを意識して水の流れに乗っている気がしていて何となく気持ちよく楽に泳げたように気がする。

だが、昨年同様2週目に入ると水が冷たく感じてくる。また昨年のように泳ぎながら下痢になることだけは避けたかったが、今年は何とかそこまでの状態にはならなかった。

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また、今年からスイムの折り返しの際にタイムを計測するようになっていた。最初の2.1kmは51:22で後半の1.7kmは44:07なので、500m毎にすると12:10-12:55になる。プールでは10:30~11:00くらいで泳いでいるので、いかに真っ直ぐ泳いでいないかということがよく分かる。

スイム(3.8km)タイム 1時間35分

湖から上がると徐々にウエットスーツのチャックを下げ腕を抜いていくが、今年は脇が擦れることを恐れて中にバイクジャージを着ていなかったことを忘れていた。更衣室に入る前に上半身裸になっていたので大会委員長に「焦るな!」と軽く注意された(^^;)

自分の荷物を受け取り更衣室に入ると、まずはいつも通り座る場所を確保して一旦落ち着いてひと息ついた。そして、自分に言い聞かせるように「焦るな焦るな」とずっと口にしながらヘルメットを被り、ウエットスーツを脱ぎ去り、バイクジャージを着て、バイクシューズを履く。あとは補給物(シリアルバー3本)とスマホ・ゼッケンベルトをセットして完了。

着替えている間、終始「焦るな焦るな」と言いながら準備していたのは、昨年ランのトランジットで焦ってヘルメットとサングラスをバックに入れ忘れて、サングラスを紛失してしまったからだ。周りに変な奴と思われても構わないから、自らに言い聞かせるよう声を出して落ち着かせた。

着替えが終わると自分のバイクを探し、バイクスタートの位置まで少し長い距離を押して歩く。その間に一度トイレに入ると「焦るな焦るな」と口にしていた癖が直らない。それに気が付いて少し笑いながら、バイクスタートの位置にたどり着いた。

すると、バイクのスタート位置にはトライアスロンを始めた頃にお世話になったK島さんがバイクスタートの審判としてそこにいた。私は思わずウルッときて「K島さ~ん」と崩れそうになるのを抑えて、落ち着いてバイクにまたがり長い180kmの旅は始まった。

トランジション(T1)タイム 19分25秒

バイクコースは洞爺湖温泉の遊歩道から壮瞥温泉を抜けて、洞爺湖の湖畔沿いを反時計回りに進み、時速30kmペースで軽快に走る。洞爺湖水の駅では水とスポドリを受け取ると、そのままトイレ(大)をしたくなりここで最初のまったりタイム。

ところで、この日最大の失敗はスイムの前に点鼻薬を付けなかったことだ。プールで泳ぐ時は点鼻薬を付けないと鼻水が翌日まで止まらなくなるので付けるようにしているが、この日は淡水湖の洞爺湖なので必要ないと踏んでいた。

しかし、バイクに乗り出しスイスイ進もうとすると鼻水が止まらない。もう、汗の量より多いんじゃないかというくらい鼻水がジュルジュル、いやタラタラと流れてくる。これではとても鼻呼吸は出来ないので、100%口から吸って口から吐かなくてはならない。ただでさえバイクは下を向きがちで呼吸が難しいのに、これは完全な大誤算だった。

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その後は多少の上り下りがあり豊浦経由でルスツまでを時速22kmペースで通過すると、なんと既にエイドのスポドリは無くなっていた。しかもこの日、その後のエイドでスポドリを受け取ることは無く、厳しい戦いが始まることになる。

当てにしていた物がないというのは本当にガックリくる。それまで発汗量やトイレのことを考えて、水分やスポドリの飲む量を調整していた矢先の「スポドリありませ~ん」は精神的にかなりクル。とはいえ、遅い選手がもらえないのは仕方がないと無理やり納得させるしかない。

こうなると、その後に待っているスペシャルエイドだけが楽しみになってくる。この自転車で180km走る間にエイドに固形物が用意されているのは115km地点の1ヶ所だけなので、スペシャルエイドにはかなりの食べ物を準備しなくてはならない。私が用意したのは、シリアルバー2本とカステラ・特大ようかん・飴・べスパ。

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ルスツからスペシャルエイドのある倶知安町までは、またまた上り下りがあり苦しい時間帯だが何とか時速23kmペースでたどり着く。ここは河川敷ということもあり、自分の補給物を受け取った選手たちは皆芝生に座り込み、遠足のように補給物をほおばっていた。私はまず水分とべスパ、そして450kcalの特大ようかんを食べて残りはポケットに詰めながら少しだけストレッチをしてリスタートした。

そういえば、バイクの前半から何故か右のアキレス腱の辺りがチクチクしてて、その後は痛みに変わってきていた。バイクに乗っていてアキレス腱を痛めるなんて今までなかったのに、とにかく痛くて踏み込みの動作であまり力を入れることが出来ない。でも今はレース中なので痛いとかは考えないようにして、とにかく前に進むしかない。

ここからはこのコースのメインディッシュ、高低差630m、平均4.2%の登り一辺倒な急坂が待っている。毎年ヒルクライムレースに使用されているコースをアイアンマンの後半にはめ込むなんて…恐ろしいことを考え付くものだ。

とはいえ、ここをそれなりのペースで登らないと確実に制限関門に引っかかってしまう設定なのだろう。余程登りが好きな人じゃないと気持ちだけでやられてしまう長く続く登りは、スタミナと筋力を奪い遂にはヤル気も失せてしまう。

ただ、幸いなことに私はバイクの上り下りは嫌いではない。トレランをやっていることもその一因ではあるが、ぶっちゃけ私の足はランナーとは思えないほど太いのでそう簡単には壊れないようだ。そんな訳でこの登りを時速12kmペースで登りきり、あとは下りで強引に貯金を作りたいと考えていた。

そんな矢先、標高700mを超える位置にあるエイドにはスポドリはもちろん水さえもなかった。しかも私が期待していたスポーツようかんやバナナもなくてぼう然とした。ここまでスポドリがもらえないのは仕方ないとして、水までもないとはかなりガックリした。

とは言え、とりあえずボトルの水は半分くらい残っていたので、次のエイドまでの30kmほどを何とかしのぐしかない。あとは気持ちを切り替え、ダウンヒルの寒さに備えアームカバーとグローブを履いて下りを楽しむことにした。

ここからはさっき登ってきたのと同じくらいの傾斜で下ることになる。ということは、時速60kmくらい出てしまう場所が多くなるので、寒さ対策は必須になる。しかも、その頃雲行きが怪しくなり今にも雨が落ちそうな感じだ。天気予報では雨なんか降るようには思えなかったのに…

そして、下りでは全身を前屈みにして空気抵抗をゼロに近づけ、気持ちよく時速60kmくらいの下りを存分に楽しんだ。そんなウヒャウヒャの楽しい区間が終わった頃にポツポツと雨が降り出してきた。今年のバイクコースでは「下りを最大限活用する」ことを命綱にしていたので私は思わず「いい時に降り出してきた」と呟きニヤリと笑った。

そんな雨の中、さっきのエイドに唯一あったドロドロの甘ったるいジェルをチビチビ飲みながら水分を摂り、残りの距離と時間を計算していた。そして下りが終わる142km地点のエイドを通過すると、残り2時間で40km弱を走らなくてはならないことが発覚した。普通なら時速20kmペースで行けばバイクゴールしてランに移れるでしょと思うが、ここからはまだ高低差300m以上の上り下りがあるので、時速20kmペースで走るのはかなり難しい。

「これはマズイ!」ここで初めて制限関門に間に合わないかもしれない、という気持ちが芽生えだして私は焦った。何とかバイクの制限時間に間に合わないと、1mさえもマラソンをすることが出来ないのだ。

これは非常事態だと悟った私は強引にペースを上げようとするが、もう足の力はほとんど残っていない。頑張ってペダルを回そうとするものの、メーターのスピードは20kmに満たない状態が続いた。というより、こんな大事な時にメーターの表示がおかしい。スピードが10km/hになったり、突然40km/hを表示したり…なんて時に壊れるんだコイツは。もう何も信じられなくなった私は茫然自失になりそうだった。

しかも気がつくと私の前の選手には、オフィシャルカーがピッタリと付いていた。最初はなんだろうと思っていたが、制限時間に間に合わなそうな選手をマークしているのだ、と気が付くのに時間は掛からなかった。するとその直後には私の後ろにもオフィシャルカーがピッタリと付いて来るではないか。彼らは私の後ろ姿を眺めながら、ペースが落ちるのをじっくりと待っているようだった。

ちょっとでも気を抜けば止められてしまうと感じた私は、人生最大級の力を振り絞りオフィシャルカーからの追撃をかわそうと奮闘した。まるで警察に追われる犯人のように絶対に捕まってはならないという火事場の馬鹿力で逃げ切ろうと必死だった。当然最後のエイドは完全に素通りするしかなく、一分一秒の無駄な時間も許されない時間は続いた。

厳しい登りが終わり、あとは少しの下りが続く頃になっても私の後ろにはオフィシャルカーがまだ付いてきている。「もう下りだから勘弁してぇ~」と思ってはいても、審判団はまだ私がダラケル瞬間を待っている。

そんな暫し長めの下りが終わった頃、やっとオフィシャルカーは私のそばから離れた。残りは7~8kmで最後のひと山があるだけなので、もう大丈夫だろうと思ったのだろう。この瞬間私はバイクゴール出来ることを確信した。ここまで来れば最後のひと山は何てことはない。ランに入れば42.2kmを6時間半近くかけて走れるので、バイクで全力を使っても使う筋肉が微妙に違うから全く問題はない、などとのん気に考えていた。

それにしても今回のバイクコースは獲得標高が2,355mと超上級者向きなので、万が一と思い高低図メモを作り、標高が解るアウトドア時計をしていたのは大正解だった。もし標高が解らなければペース設定が全く分らず、制限関門への対処も出来ていなかったかもしれない。本当に命拾いをした。

バイクタイム 8時間17分(1156番)

バイクゴールした時は本当にフラフラで、残っている力の90%くらいを使いきった感じだった。でも、力を持て余して関門に引っかかってしまえば一歩も走らせてもらえないので、とにかくバイクはどんなことがあってもゴールしなくてはならない。140kmの時点で気が付いて本当に良かった。

バイクを預けると今度もやけに長い距離を歩き、ラン用のバックを受け取り着替える。着替えると言ってもバイクシューズを脱いでソックスを履き、ラン用のシューズに履き替える。あとは、帽子を被るだけなので普通なら5~6分で済む作業だが、今年はなんとなくゆっくり作業した。

スイムから上がった時と同じように息のゼィハァが止まらないし、5本指のソックスがなかなか履きにくい。ひと通り終わると虫除けスプレーをかけて、折角だから隣のおじさんにも貸してあげた。

さて、いよいよトライアスロンの種目で最も安心できるランに入れると思うと、さっきまでオフィシャルカーに追いかけられて瀕死の状態だったのに妙に嬉しくなってきた。やはり、人間は気持ち次第でどうにでもなる生き物なのだろう。

トランジション(T2)タイム 11分57秒

ランコースに入るとすぐに豪華なエイドがあった。水、VAAM、レッドブル、ゼリー数種類、スポーツようかん、バナナ、塩分タブレット…こんなエイドがバイクの途中に1ケ所でもあればもっと違うレースになっていただろうに。

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今思えばバイクパート8時間の間に食べたのは、ほとんど自分が用意した食べ物だけだ。まぁそれもこれも全て通過タイムが遅いから仕方ないのだが…

ランのスタート直後はいつも違和感だらけだ。でも今回はバイクの途中で痛み出した右のアキレス腱がやはり痛い。足首を上下に動かすと痛いので気にし出すとギコチナイ走りになってしまう。ここはやはり痛みを忘れるようなことを考えなくてはならない。と思い、しばらく私は小声で歌いながら走り出した(笑)

ランのコースはスタートから緩い登りがあり、4~6km区間は林道などを走ることになる。しかもその林道が一気に120mほど登るので、その辺ではほとんどのランナーが歩いていたが、私は絶対に歩かない。トレラン経験者としては林道の登りを歩いてはいけない、という意地みたいなものだけで強引に走り続けた。林道の区間は非常に走りやすく、景色も清々しくて気持ちがいい。個人的にはずっとこんなコースで良いんだけど…

と思いつつも、舗装道路になると何故か少しホッとした。舗装道路を走ると今度はバイクのコース序盤の道を逆走して走ることになる。下りでは太ももが結構来るかなと思いつつも、意外と丈夫な私の脚は周りのランナーをスイスイ抜いていくほど調子が良かった。やはりトレランを経験して更に私の太ももはたくましくなっているようだ。

洞爺湖水の駅から程近い駐車場で一度Uターンしてからは、洞爺湖マラソンと同じコースを温泉街に向かって走る。この15km地点を1時間40分で通過していたようだ。バイクではエイドにほとんど何も無かったので、序盤のエイドで色々と欲張って食べてしまっていたようだ。

その後は徐々に日が暮れて辺りは一気に暗くなる。温泉街が近づいてくる旭浦の23.8kmチェックポイントは2時間35分で通過し、この間は少し調子が出てきてペースが上がった。ここからは温泉街でUターンしてくるランナーと重なり、洞爺湖温泉街に向かう。

そしてバイクスタートの噴火公園に戻ってきた。ここではラン用のスペシャルエイドがあるので、私は例によってカステラと特大ようかんを用意していたが、さすがに特大ようかんは食べられずカステラだけ食べた。

ここからは最終ゴールの直ぐ手前でUターンしなくてはならない。なんとも悲しいコース設定でまた真っ暗な湖畔沿いを走らなくてはならない。ここの29.8kmのチェックポイントは3時間20分で通過しており、カステラタイムなどでペースは落ちた。

再び真っ暗な湖畔沿いを月浦に向かって走り出すと雨が本降りになってきた。もうここまで来たら雨が降ろうが槍が降ろうが気にしない。とにかくエイドを短めにして着々と走り続けることだけを考えて、余計なことは考えないようにした。そんな湖畔沿いの最後のUターン、35.9kmを4時間01分で通過するとあとは温泉街に向かって走るだけ。

再び噴火公園に戻ってくる頃、洞爺湖畔の花火が鳴り出した。ちょうど公園の木々が邪魔して花火が見えないので花火を観るために私はスパートを掛けた(笑)もうここまで来たら途中に2つあったエイドも素通りしてペースを上げる。遊歩道の石畳は微妙に足裏に絡みつくが、それがゴールが近づいている証でもある。

沿道の人たちはペースを上げた私に「もうすぐだよ」「ナイスラン」「凄いペースだ」と声を沢山掛けてくれる。おだてに弱い私は更にペースを上げ、恐らく4:40くらいのペースでゴール前の花道に入った。花道には沢山の人たちがびっしり出迎えてくれて、私にハイタッチを求める。私は満面の笑みでみんなの手を叩き、倒れそうになりながらも全力でゴールした。

ランタイム 4時間40分(820番)

ヤッター!ゴールした。なんて嬉しいんだ。あのバイク中盤でのフラフラ状態や、オフィシャルカーにあおられて気力だけで走りきったバイクパートのことを考えると、本当にここにいるのが奇跡のように思えた。

こんな真っ暗な時間にゴールするレースなんてなかなか無いだろうが、だからこそ味があるのだろう。嬉しくて楽しくて、今までの練習や減量・参加料の高さなど全て忘れるくらい本当に嬉しい瞬間だ。ここだけの話、他のどんなレースよりも達成感が本当にハンパない。この瞬間を味わいたいために一年間頑張ってきたんだ、と思うくらい凄いレースだ。感動などとありきたりの言葉では表せないほど、色んなものがこみ上げて来る。「あーー、なんて気持ちいいんだろう」

本当はアイアンマンは参加料が高すぎるから今年で卒業しようとしようと思っていたのだが、こんな最高のレースに出られるだけでも幸せだと思ってしまう。また来年は来年で考えよう。

ゴールタイム 15時間04分
(スイム:1時間35分+T1:19分+バイク:8時間17分+T2:12分+ラン:4時間40分)

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